本日は五反田TOCのユーロフォルム東京ショールームにお伺いしています。
インテリアプラスでは、ヨーロッパの高級インポートソファの販売会を告知させていただいており、人気のあるイベントのひとつとなっています。
今回、こちらのフォームズ様でイタリアの新しい高級ソファブランド「ニコライン(Nicoline)」のお取り扱いが始まりました。日本ではまだ流通が少ないので、ご存知のない方もいらっしゃるかもしれませんが、商品作りの姿勢、品質共にトップクラスの注目のブランドです。なぜ「ニコライン(Nicoline)」のソファが優れているのか、ニコライン日本総代理を務める須川様にお話を伺いました。
イタリアの家具業界も日本と同じで厳しい時代のようです。
Q:須川さんは多数のイタリアの家具ブランドとお仕事をされていすが、そのご経験からイタリアの家具業界の現状についてお話いただけますか。
A:イタリアの南部、ちょうとあのハイヒールの根本のあたりに広がるバーリ県のアルタムーラ市(Altamura)のエリアはイタリアンソファのメッカと言われています。日本ですと九州の大川家具のような家具メーカーが集まっている地域です。
この地方は元々産業の少ないエリアで、オリーブオイルと革のクラシックシューズ、また革製ソファが中心となっています。また、典型的な南イタリアでおいしい家庭料理と温かみのある人柄でもよく知られている地域です。
同エリアは世界規模のソファの生産拠点として大変有名で、栄えた時期が続いておりました。当時は東南アジアのソファメーカーは技術力や商品の品質もまだまだで、イタリアのソファとは大きな差があったのです。ところが、近年になって東南アジアメーカーの急激な技術力の向上、革等のマテリアルの向上によりクオリティが大幅にアップしてきました。
加えて不景気の影響で、価格競争力・価格訴求力のみに特化した多数のメーカーや関連工場は、経営状況が悪化し潰れるメーカーも出てきました。潰れないまでも財務危機を強いられ、試行錯誤し、何とかサバイバル競争に勝ち抜こうとしている有名ソファブランドも多数あります。
現在生き残っているのは、イタリアの家具ブランドとしての特徴とコンセプトをしっかり持ち、品質を確保できているブランドです。どちらにせよイタリアも厳しい時代に入ったと言えます。
Q:中にはあまり品質の良くないイタリアンブランドの話を聞く事がありますが…。実際どうなんですか?
A:イタリアのソファブランドの一部には、図面だけを持っていて自分では製造をせずに、下請けに全てを丸投げしているメーカーも存在します。しかもコストを厳しく制限をしていますのでダイレクトに品質に影響しています。イタリアンソファの品質が落ちているのではないかと言われている理由のひとつにもなっています。
Q:その下請け工場ってイタリアじゃない?ってことですか?
A:いえ、イタリアはイタリアなんです。確かにアルタムーラのエリアの中に下請け工場はあります。しかし、質の悪い下請け工場になると、安い労働力の外国人をその場所に在留させて作業させています。別にその外国人の方が悪いわけじゃないんですが、イタリアの高級ソファの下請けである以上、品質管理は一番重要なはずなんですが、そこが疎かになってしまったわけです。
ソファの生産は手作業が大変多いのが特徴です。つまり手作業の良し悪しがソファの品質と直結してきます。そのためには良い商品を生産しようという活力のある人材を確保、評価し、それに見合った成功報酬のシステムを確立していかなければいけません。その辺をきちんとオペレーションできているメーカーは、しっかりとした商品の品質を確保でき、健全な経営を実現しているようです。
商品の品質のみならず、デザイン力、積極的な新しい技術の投入、それらを網羅したイタリアならではの独自性も求められます。実はこの辺にどれだけの知恵と、工夫、所謂商品開発に力を注いでいるかが、市場では明暗を分けるのです。
当たり前の事なのかもしれませんが、実際に優秀なプロ集団が一つの事をプロジェクトとしてとらえ、惜しみない努力を注いだ結果は、商品に様々な形で出てきます。「なるほど」と唸らせる商品、理由なく純粋に美しく見とれてしまう商品、中には高い可能性を感じ、身震いをしてしまう商品との出会いがあります。
この仕事をしていてよく感じるのが、イタリア人はまねのできない感性とマーケットセンスを持っているなと感じることです。
対して、これは少し残念なことなのですが、日本国内にはそれらのイタリア人ならではの感性を感じられるモデル、マテリアルを見ることがあまりありません。
恐らく、サイズや商品の回転率等様々な都合、また間違ったバイヤーのフィルターを通さざるを得ないが原因なのかもしれませんが、理由はさておき、本家本元のミラノの展示会(Fiera)ではある種全開のパワーを感じます。どの市場にも、見せる商品と売る商品は異なると思いますが、見せる商品は文字通り「魅せる商品」でもあり、万人を魅了する商品力を持ち合わせております。
そんな商品を求めていらっしゃる方は日本にも必ずいらっしゃると確信しておるのですが、残念ながらそういった商品をなかなか日本の家具屋さんで見る機会が少ないのが実情です。
原点に立ち戻るイタリアンメイドの本物のイタリアンソファ「ニコライン(Nicoline)」
Q:その危機感から生まれたのが「ニコライン(Nicoline)」というわけですね。
A:イタリアンブランドの信頼を取り戻す運動の立役者のひとりが「ニコライン(Nicoline)」のオーナーのニコラでした。
これが「ニコラインのソファは100%イタリアンデザイン、イタリア人が作ったものです」ということを証明する証書です。2012年の6月に発行されています。
ここで二つの言葉を覚えて頂きたいのですが、「Made in italy」と「Italian Made」という言い方。「Made in italy」はもちろんイタリア製ということなんですが、隠語的に「イタリア在住の外国人に作られたもの」も含まれています。ある種の皮肉が込められているんです。対して業界の志は「Italian Made」、「イタリア人によって作られたもの」ということです。
ニコラインはあくまでも「Italian Made」にこだわってるんですね。
反面、一部の有名イタリアメーカーのソファでは明らかな質の低下が見られるようになってきました。誰が見ても分かるくらい右と左で高さが違っていたり、座面が波打っていたりと本当に酷いソファが販売されるようになってしまったのです。
ソファの怖いところは手作業で作っている部分が多いことで、あらが見つけやすいところです。ソファは「フレーム」「張りぐるみ」「縫製」等、行程のほとんどが「人の手」によるものです。手を抜けばダイレクトにソファの仕上がりに出てきます。
これはあくまで一部のブランドの話ですが、このままではイタリアンソファのブランド力を下げることに繋がりかねないと危機感が生まれて来たわけです。
ニコライン(Nicoline)をオススメする理由
Q:イタリアには多数のソファブランドが存在していますが、ニコラインというブランドはどのような位置にいるのでしょうか?
ニコラインの価格帯は本場のイタリアンソファとしてはミドルハイグレード(中の上)の設定となっています。Cantuエリアの超高級ブランドにはちょっと手が出ない方にもニコラインはお求めやすいのではないでしょうか。
家具ブランドに限った事ではありますせんが、永い時間を共に過ごす商品を購入するとき、そのメーカーが信頼するに値するかどうか調べることは非常に大切です。一般的に3つ要素が重要かと思います。
- 安定供給を裏付けるべく、十分な実績と歴史等の背景があるか。
- デザイン、商品開発をしっかりやっているか。トレンドを取り入れているか。
- 品質はどうか。自社工場を自分達でしっかり機能、運営させているか。
ニコラインはこれらの3つの要素をしっかりクリアしているブランドです。新しい工場も安定可動しています。工場スタッフは70名ほど、全て目が行き届き安定的に高品質の家具を作り出すにはちょうど良い会社規模と言えます。加えて、さきほどの「Italian Made」の考え方を大切にしていること。イタリア人が責任を持って製作した100%イタリアのソファであることです。
Q:こちらがニコラインの革サンプルですね。
A:現在日本国内でもっとも評判の高い革がボストンという革になります。厚くて柔らかく且つ手頃な価格設定が出来ています。反面、現在のイタリアのトレンドにもなっていますが、上質な革って薄い革なんですね。一般的に良い革というと、
- 厚い
- 伸縮性がある
- シットリ感がある
と言われています。ところが今のイタリアの流行としてはキレイなフォルムを出す為に1の「厚い」のではなく、薄くしなやかな革が好まれています。日本ではどうかというと何かというと「厚革」のばかりですが、勿論モデルにもよるのですが、薄い良質な革を用いると、粗がでやすく、内側の処理に手間がかかるので、可能な技術とノウハウを持った工場とそうでない工場と分かってしまうのです。
これが最も上質な革ですが、薄くてしなやかでかつ、伸縮性に富んでいる革です。しかもシットリしている。このような薄くて伸びる革でないとデザインによっては、ソファのフォルムが美しく仕上がらない場合があります。もちろんスクエアなスタイルのソファ、柔らかい曲線を使ったソファ等フォルムによって適正な革を選ぶ事が重要です。
Q:フォームズショールームのニコラインをいくつか見せて頂きます。
A:こちらはアーム部分が可動式のMOONというソファです。こちらのソファの最近のトレンドを良く取り入れたものです。黒いパイピング(コントラストパイピング)が特徴的なソファです。
フローティング(宙に浮いた脚付のデザインが主流になっています。)
シートがより低くフラット(古いモデルではシートが後ろに向かって傾斜していますが、最近のシートがフラットなタイプが流行しています。)
ヘッドレストやアームが可動式(シートがフラットなこととアームが可動式であることで普通に座ったり、横に寝そべったりできます。)
使用時以外は低くおしゃれに見えるようにデザインされています。*Moonはアームレストのみ可動式です。
こちらはコンパクトなJUNIOR。奥行きが80cmほどのコンパクトサイズですが、座り心地はなかなかのものです。フォームズショールームでも既に数台売れているモデルです。
最後は可動式のヘッドレストのMETROPOLEです。仕上がりもニコラインクオリティのどっしりとしたソファです。
フォームズショールームをお訪ねして注目のイタリアンブランド「ニコライン/Nicoline」を取材させていただきました。本当にありがとうございました。最後に須川様にニコラインのカタログ入りのUS Bを頂いたのですが、 これがまたおしゃれ。細かいところまでイタリアンデザインが浸透しているブランドだと感じました。
インテリアプラスでもニコラインの販売イベントを積極的にご紹介していく予定です。是非一度、ニコラインのソファを直接ご覧になって見て下さい。
ニコラインのイベント