快適空間を作る基本ルール | インテリアプラス

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快適空間を作る基本ルール

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長期間のライフスタイル設計を

インテリアコーディネーションは、いわゆる自分の名刺みたいなもの。友人を自分の家に招けば、多くを語らずともセンスや好みがクリアに表現されます。全体のバランス、遊び心溢れるディスプレイ、クッションやカーテンのパターン等、凝れば凝るほど理想形まで終わりがないのも事実。ただ、短期間で完璧を目指すのは失敗のもとだと肝に銘じておくことが大事です。欲しいままにそろえるのは、決して安い買い物ではないですからね。
家と住人の関係は、お互いに変化しつつ、ときにぶつかり合いながら呼吸を整え合わせてゆくものです。イメージしていたような家具も、家それ自体がもつ雰囲気にそぐわなかったり、必要な役割を果たしてくれない結果に終わってしまうことだってよくあること。生活に必要なものはゆっくりと時間をかけて徐々に見極めてゆくほうが、ゴールを目指す賢い走り方と言えます。
名刺デザインをカッコよくしたいと、急く気持ちが強まりますが、そのヤル気を転換してください。家具との出会いを趣味や楽しみに変えてゆきましょう。インテリアショップ巡りをはじめると、回りきれないショップの数々に直面するはずです。イメージを膨らませるために本屋巡りをはじめると、新しいイメージソースに視野が広がるはずです。イメージや情報は膨らませれば膨らませるほど、ディープになってゆくもの。急いで揃えてしまうよりも、じっくりとマイスタイルを構築してゆくほうが良さそうなのは、もう言うまでもないことですよね。
それまでの仮家具には、お金をかけることはありません。クローゼットの中の収納タンスは段ボール素材でも十分。捨てられるくらいの家具からはじめることで、ライフスタイルの取捨選択もクリアになります。

人が集まるところには余裕をもった広さを

快適な空間作りの基本は何と言っても整理整頓に尽きます。毎日は使ったら片付けるの連続です。しかし、どうしても片付けが苦手な人だってたくさんいます。では、千差万別のわたしたちはいかにして気持ちのよい空間を作ることができるのでしょうか。
それは簡単なこと。人が集まる場所は常に広々させておくことです。つまり、そういった場所には元々ものを置かないルールを作ればよいのです。
例えば、食事をするダイニングテーブル、くつろぐリビングのソファなどは、家族が時間を過ごす日常生活において欠かすことのできない場です。そんな場所だからこそ、散らかさなければ毎日の生活風景も心地よいものに定着してゆきます。細々したものは専用のボックスなどにまとめておくとよいでしょう。人の往来が多くある場所周辺にはその他の家具を配置せず、余裕をもった広さを確保することで、家族も集まりやすくなるものです。
家族の人数に縛られず、少しサイズが大きめのダイニングテーブルを購入することもおすすめ。なぜなら、食卓上の余白こそがゆったりとした生活の余裕をかもしだすからです。食器で埋め尽くされた食卓には、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた余裕のなさが景色となって現れてしまいます。
ソファにも同じことが言えるでしょう。寝っ転がっても身長をカバーしてくれるソファには長居をしたいものですし、奥行きのある座面にちょっぴり贅沢を感じることもあります。大きめの家具を置けるほど部屋が広くない、そんな場合でも他の家具を削ったり、小体なものを選ぶだけで、生活に余裕をもった基盤が目に見えてくるようになります。

家具のメンテナンスが簡単

生活の流れと空間のレイアウト

上手な空間の使い方を知っている人は、自分の行動をよく知っている人です。反対に、なかなか心地よい空間に辿り着けないと頭を悩ませる人は、日常に潜む些細な気がかりを流してしまっていませんか?
小さな懸念も仕方のないこととして、改善の余地を自ら塞いでしまっている場合があります。例えば、それは家具のレイアウト次第で解決できることも。
ダイニングからゴミ箱が見えてしまっていては、せっかくの美味しい食事も無意識下で思い切り楽しめません。オープンキッチンの場合、食器や鍋のたまったシンク、包丁、調味料の数々が見えてしまうと、途端に雑多な印象を生んでしまうものです。一度普段の自分の動きを客観的にとらえ、空間の小さな邪魔ものたちを発見してみましょう。少し移動するだけでも、スッキリとした気持ちのよい印象をつくることができます。
このように生活の中で隠しておきたいマイナスの場所を知っておくことで、快適なレイアウトを導くことが可能です。トイレもそのひとつですね。リビングとトイレの扉が直結している家も多くあることでしょう。食事中に限らず、トイレ空間が少しでも見えるのはもちろん避けたいこと。そんな場合には、ディスプレイ棚や本棚、そして観葉植物をちょっと置くだけでも、パーテーションの役割を果たしてくれます。同様に、コード配線も皆が抱える共通の悩みであるはず。ひとつに束ねるのはもちろんのこと、家具の裏側にテープで貼付けて隠してしまうのも、日常に潜む小さな改善策です。
ずらす、まとめる、置く、隠す、たったこれだけで家の中の視界が晴れ渡るかもしれません。

もしもの地震にも備えて

わたしたちが居住するのは、家具ひとつさえも生命を脅かすリスクを持つ「地震大国日本」です。しかし、ちょっとしたポイントを心得ておくだけで随分と結果は異なるものですから、家具こそ万全の注意を払っておきたいものです。
まず、背の高い家具は寝室や子供部屋にはNG。タンス、ハンガーラック、本棚など置く場合にはベッドから距離をとり、しっかりと固定しておきたいですね。地震が起こると家そのものがひしゃげてしまうため、つっぱり棒は機能しません。そのためL型金具で壁と家具を固定してしまうのが一番。穴を開けたくない気持ちはやまやまですが、その穴もパテ埋めは可能なので、安全性を重視したいところです。上部には軽いものを、下部には重いものをしまう癖をつけるのも重要なこと。
食器や雑貨の多いダイニングやキッチンもリスクの高い空間です。とりわけ収納家具はちょっとした点を見逃さずに選べば、予想外の地震にもある程度安心できます。ひとつは収納扉の開き方。横開きの引違い扉であれば、揺れによって開き、中のものが破片となって飛び出してしまうことも滅多にありません。開き扉であれば、ラッチの取り付けが必要不可欠。開く力を加えなければ開かない、というのがポイントです。
収納のためのオープン棚やディスプレイ棚にも当てはまることですが、棚板の前部に5ミリ〜10ミリ程の立ち上がりがあるタイプもおすすめです。揺れが生じても、この立ち上がりが引っかかって床にモノが落下しにくくなります。
大切なものも大切ないのちも、少しの心がけでしっかりと守ることができるのです。